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「だから、早く儀式を切り上げてあの子の下に行きたいんだね。全く不誠実な子だ。あの子も、いくら幼なじみだからといって、手を出して良い相手と悪い相手がいるってことを分かってるのかね。これだから、あの家は……」
「や、止めて下さい!レン君は何もしてないんです。悪いのは私なんです。レン君が嫌だと言ったのに、私が無理を言って約束させたから。だから…だから、レン君のことを責めないでください……」
リンは、途中半泣きで、止めてようと言いました。
すると、女性はわざとらしく驚いた顔を作るました。
「へぇ、あんた自分で行こうと言ったんだ。そんなやましい気持ちでいるなんて、神聖な儀式をなんだと思ったんだい」
「すみません。もうこんなことは二度としませんから。でも、心細かったんです。大人達に囲まれて一人で何時間もいるのは辛かったから、だから、ひとりぼっちにならないように、帰る場所があるように約束がしたかったんです」
目から雫が何滴も流しながら、リンはそう言い切った。
それに、女性は奇妙に満足げな顔でこう言いました。
「そうかい。なら、いいよ。明日はあの子とどこにでも行けばいいさ。明日の儀式は出なくていいよ」
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