プロローグ

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『悪神』もまた、女神でありましたが、人々には悪魔のような姿を持ち、ケダモノのように倫理を知らずに『善神』とは別の地の底で生きていると考えられました。 だが、実際は……。 『善神』と呼ばれる彼女がいる世界には、『悪神』と呼ばれるモノもいました。 『悪神』は『善神』と同じく人の姿をしていました。そして同じように、生まれつき感情が欠落したような目をしていました。 そういう二柱の神がいましたが、『善神』はいつもしゃがみこんで、世界の総てを覗いていました。それに対して、彼女は座ったままずっと、彼女のいる世界そのものを空虚な目で仰いでいました。 『どこでもないところ』を。 彼女らと限りなく等しい虚ろな世界を。その天空を。
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