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リンはまだ半分濡れたままの服を着たまま、女性と共に村に帰る道中にいました。
もう、辺りに夕焼けに包まれた頃でした。東の雲に落ちかかる夕日が二人を薄暗い光が差しているせいか、リンの服が普通の子のそれよりボロく見えます。
しばらく二人が無言で歩くと、村の入り口とみられる質素な門構えが目に付きます。
そこには、数人の屈強な男達がいました。彼らは一様に中年の女性を憎しげに睨み付けていました。
二人が門の近くまで差しかかろうとした時、男達は二人の格好、特にリンの方、を異様な目付きで見ると、
「おい、あんた」
その内の一人が女性に向かって苛立ったような口調で呼び止めました。
「なんだい?てか、いきなり「あんた」はないんじゃないの?」
二人は立ち止まり、女性は呆れたように返しました。
男はそれを気にせず続けます。
「こんなに暗くなるまであんた達はどこに行っていたんだ?」
「どこって、どこでもいいでしょ?こんな大人数で待って、まさか私達がいなくなるとでも?そうだったら余計なお世話よ」
女性はそれにいつもより早口で答えました。
「その疑いはあった。聞くが、なぜあんた達は服が濡れているんだ?どこに行ったんだ?」
「それは……」
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