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女性は俯き、口籠もってしまいました。
男はさらに責めるような口調で言った。
「川辺に行ったのだろう?」
「ああ、そうさ」
「昨日強い雨が降ったから、川辺が危なくなることくらい、ここに住んでいれば分かることだろ?いや、おれ達は余所者のあんたらに言い聞かせたはずだ。だったらなぜあそこに行ったんだ!?」
男の声はだんだん抑え切れなくなって、怒鳴るようになりました。どこか、焦ってるようでもあります。 女性はそれを聞くと、諦めたように告白しました。
「あんたらの考えてることは正しいよ。確かに、あたしはリンを殺そうとした。今となっては後悔している。とはいえ、そうしようとしたのは事実だ。それを言い訳する気はないよ。村会議でも開いて、あたしを死刑にするんだね」
それを聞くと男は、怒りを顕にしながらも、どうにか落ち着いて声を絞りあげました。
「ああ、そうするよ。近いうちに、他の村を交えて裁判を開く。明日は祭りがあるからそれ以降になるな。それまでに、お前がしたことを懺悔するんだな」
「悪いけど、あたしは神を信じていないんでね。」
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