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春と夏の狭間。
あの入学式の頃のだぼだぼ冬服から
涼しげなだぼだぼ夏服へと皆完全に変わり
昼はそれでもじんわりと汗を書くほどに暑くなるが
夜は肌寒くなる。
春と夏との悪い所だけを持った微妙な季節。
入学したての頃の固い空気もある程度消え
クラスの中でお調子者が騒ぎ出す。
かといって、クラス全体がまとまっているわけでもない微妙な状況。
そして、目の前にもう一つ微妙な事がある。
「ぬぇ~………。」
現在の日本の文字ではまだ表せられない音を出しながらこのクソ暑くてだるい授業中机に抱きつくように寝ている人間。
日本の戸籍上は男、らしい。
別にオカマな訳ではない。
さらに武道の経験があるらしい彼はきっと俺より強いだろう。
しかし、
その姿はどう見ても可愛い。
それは先輩が後輩に対して感じる可愛いでは無い。
異性として、1人の女性として可愛い、かなり。
「っ!?」
隣からとんでくる折たたまれた紙。
その方向を見るとバカがこちらを見てVサインをしている。
「くーちゃん超可愛い!」
汚い字でそう書かれていたので俺は
「見りゃわかるわ!」
と書いて紙を返した。
「くーちゃん」というのは俺の目の前の可愛いあの子、くきら様のニックネーム(もちろん影でこっそり勝手に呼んでいるだけ) である。
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