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鈴は道場から木刀をとると急いで公園に戻った。
桜花はボロボロになって倒れていた。
「おうちゃん!」鈴は悲痛な声をあげて近づく。
桜花は鈴から二本の木刀を受け取ると、ヨロヨロと立ちあがった。
「今さら刀持ったからなんだよ」「ボロボロの癖にいきがってんじゃねーぞ!」そう言って二人のヤンキーが近づいてきた。
一振り―そしてもう一振り。速く強い2つの斬撃は。2匹の男をいとも容易く打ち沈める。
桜花は不敵に笑って言った。
「刀さえあればテメェらザコには負けねーよ。」
ヤンキーは足元に転がる二人の仲間をみて、目の色を変えて襲いかかってきた。
桜花の二本の木刀によって描かれる無数の剣技は、見る者の心を奪った。
まるで桜のように―――。
ボロボロになったはずの桜の木が、まだまだいけると 満開の花を咲かせた。
見る者全てを感動させる剣技。
これはまさに―『千本桜』
彼を囲む幾多の男は、彼の刀、満開の桜の前に花びら同然に散っていった。
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