chapter2【夏ヲ蝕ム】

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ただ座っているだけでも、じわっと汗ばむこの季節。 夕闇が近づく時刻になったというのに、セミの声は一向に止む気配もしない。 太陽が沈みかけて、心地よい風が吹き始めた頃、神社の境内では提灯の明かりがつき始め、ほんのりと暗くなり始めた周りを照らす。 祭りのお囃子が軽快に聞こえ、縁日は人でごった返している。 今日は地元の祭の日。 道を歩く人たちも色取り取りの浴衣を着て神社へと続く道を歩く。 神社はここからそう遠くはなく、笛の音も太鼓の音も、はっきりと耳に届く。 「やばい。間に合うかな?」 履きなれない下駄をカラコロと鳴らしながら、神社へ向かう人々の中、桃子も神社へと急ぐ。 息を弾ませながら集合場所である鳥居の前に着くが、まだ誰も来ていない。 お祭りに向かう沢山の人が行きかう中、桃子は一人、鳥居の前でちょこんと待ち人を待つ。
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