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「ふーん。仲良く…ねぇ~」
「……何が言いたいのさ」
どことなく意味深げな顕太郎の言葉に微かに動揺する桃子。
「俺が言いたいのはだな、凛香さんや大樹君達にちゃんと心開けてるかどうかって事だ。
普段にこにこ笑ってバカやってたって、それが他人に心ん中まで見せてる事にはなんねぇからな。
こう見えても叔父ちゃん桃子の事心配してんだぞ」
そんな事を言われ、妙にこそばゆく、て桃子は珈琲を一気に飲み干した。
「叔父さん、人の事ばっかり気にしてないで早くお嫁さんもらいなよ!!
いい年して少女漫画ばっか描いてないでさ!」
「うっせぇ。俺の事はいいの!
俺はコレでメシ喰ってんだから!
別に疚しい仕事じゃねぇし、それに…いい年ってのが余計だ」
桃子の髪を“余計なお世話だ”と言わんばかりに、くしゃくしゃと撫でた。
「あっ、やぱい!もう8時回っちゃってる。
入学式早々遅刻はまずいよね。」
桃子は慌てて荷物を掴み取ると、飲んでカップを片付け忙しなく玄関へと向かう。
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