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体育館へ移動するとお世話係の人達でだろう、左腕に腕章をつけた在校生数名が新入生の胸に華を付けたり会場案内をしたりと忙しなく動いていた。
幸い、偶然にも桃子は智恵と同じクラスらしく自分達のクラスの列に並んでいると声をかけられた。
「華付けるんで、こちらを向いてもらっていいですか?」
「あ、お願いします」
慌てて振り向くと、満面の笑みを浮かべた大樹が、新入生に付ける華を持って立っていた。
「大樹!?」
「ほら、花付けてやるから動くなよ。」
「こんな所で何やってんの?」
よほど間抜けな顔をしていたのであろう。
そんな桃子の顔を見るなりクスクスと笑いながら大樹は器用に華を付けていく。
「何やってるの?って…見て分からんのか?華付けてやってるんだよ。はい、出来上がり!!」
「あ…ありがと」
「てかお前言今来ただろ!俺すっげぇ待ってたのにお前全然来ないから道にでも迷ったかと思ったぜ」
冗談めかしにケラケラ笑う大樹をみて
「ちょっと、そんな訳無いでしょ!恥ずかしい事言わないでよ!!皆が信じちゃうじゃない」
桃子の顔が一瞬にして赤くなる。
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