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「すいませーん。
こっちもお願いします。」
お世話係の生徒を呼ぶ声が聞こえる。
「はーい。呼ばれたからまた後でな!桃子、式中寝んじゃねーぞ」
と、冗談を言って去って行った。
そんな状況の一部始終を、横で見ていた智恵がニヤニヤしながら桃子に話しかける。
「ちょっと桃子!今の男誰?超格好いいんですけど!知り合いみたいだけど…
まさか彼氏!?桃子も隅に置けないなぁ~」
「ち、違うよ!あれでも一応私のお兄ちゃんだょ。」
「えっ!?桃子お兄ちゃんいたっけ?」
「ん~あのねぇ…」
桃子は智恵に簡潔に親に再婚により大樹という兄ができた事。
お互いの苗字が違うのは、今から苗字が変わるのも子供としても面倒だろうということで変えなかった事などを簡潔に説明した。
「そうなんだぁ!いいなぁ。あんなお兄ちゃんならアタシも欲しい!!」
「そんないいもんでもないよ?」
テンションが上がり気味の智恵を他所に桃子は苦笑いを浮かべていた。
「新入生の皆さん入場しますので、一列に並んでください」
入場を促す声と共に、お喋りをしてざわついていた生徒達は話すのを止め、やや緊張した面持ちで一同不安と期待を胸に体育館へ歩き出した。
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