水蜜桃の夜

-桃ノ想イ-

今日は新入生のオリエンテーションを兼ねて、学校内の案内、生徒会・部活動紹介や、委員会決めなどがあるという。

―――正直、めんどくさいな…

桃子は深くため息をつくといそいそと部屋を後にした。

今日は大樹と一緒に登校。

入学式当日遅刻ギリギリに来た事を大樹は、桃子が本当に迷子になったと思っているらしく、昨晩『明日は俺が一緒に登校する』と言って聞かなかったのだ。

「桃子は何の部活入るんだ？」

「んーー、帰宅部」

「帰宅部かよ、味気ねぇな。高校生活は今しかないんだから楽しまないと勿体無いぞ！！」

握り拳作り、目をキラキラとさせ熱弁する大樹を、桃子は冷ややかな目で眺める。