-桃ノ想イ-

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始業時間前になると、人まばらだった教室には登校してきた生徒で騒がしくなる。   気のせいかクラスの女の子達から見られているような視線を感じる。   ましてや、廊下では隣のクラスの女の子達であろうか、桃子の顔をみてヒソヒソと何かを話し目が合うと逃げていく。   正直ムカつく。 「なんか嫌な感じぃ~」   机に肘をつきてのひらに顎を乗せた格好で、桃子の隣に座っていた智恵が怪訝そうな顔をして廊下を睨み付ける。   「えっ!?」   「さっきから桃子の顔見てヒソヒソ話して感じ悪いにも程があるつーの!言いたい事あるならここで言えっての!!」   苛々した様子の智恵がおもいっきり“バンッ”と机を叩くと、一瞬教室に沈黙が起こる。 「まーまー智恵、落ち着いて。私なら平気だからさ」 「ね?」と答えつつ、苦笑いを浮かべていると、智恵を宥める桃子の前に徒党を組んだ女子生徒の一群が近づいてきた。
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