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どうやらツボに入ってしまった様子の桃子をみて、ほんのり耳を紅くさせた顕太郎が桃子の額を指で軽く弾いた。
「笑いすぎだ!邪魔じゃなく手伝え!」
「冗談だよ!冗談!!」
顕太郎に軽く弾かれたおでこを片手で覆いつつ、顕太郎を宥め言い聞かせると、顕太郎は桃子の隣に座り、懐から煙草を1本取り出し口に銜え火を点けた。
カップから入れ立ての珈琲の香りがする。
その香りに誘われるように、思いっきり吸い込むとカップに口をつける。
「そういや大樹君だっけか。元気なんか?」
顕太郎は1度も大樹と面識がない。
母の凛香とは、以前1度だけ会った事がある。
会ったと言っても、偶然顕太郎の描く漫画のファンだった凛香さんが、桃子の叔父が顕太郎と分かると、わざわざ顕太郎の家を桃子から聞き出しサインを強請(ネダ)ったという過去があるためだ。
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