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押し潰されそうなほど胸が苦しい。
うまく笑えない。
鼻の奥がツンとして
目頭が熱くなる。
いつもと様子の違う桃子に気付いた大樹が、去ろうとする桃子の腕を徐に掴んだ。
「桃子、大丈夫か?
少し顔色が悪くないか?」
「大丈夫だよ…
人酔いしちゃったかな?
えへへ。
…待たせちゃ悪いから…もう行くね」
荒々しく本を持つと早々に会計を済ませ顕太郎のいるフロアへ向かった。
大樹達と別れた後、幾度となく目頭が熱くなり、尚も治らない胸の痛みをこらえ顕太郎を探した。
「ぉう、桃子。ちょうどお前の所に…ってどうかしたのか?」
顕太郎を見つけるや否や、顕太郎のもとへ駆け寄った桃子の視界が揺らぐ。
「叔父さん…行こう」
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