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「本当に大丈夫だから、叔父さん心配しすぎ」
桃子は、顕太郎の言葉に含羞(ガンシュウ)の笑みを浮かべた。
顕太郎と話をしていると、誰かが帰ってきた気配を感じ、桃子は、ふと窓の外に目を向ける。
家の前に、帰宅してきた大樹の姿を見つけ、自然と目で追ってしまう。
その度に胸の中が、何か暖かな気持ちで満たされていくのを感じていた。
「何かあったらいつでも言えよ。
まぁ何にもなくても甘えてくれて構わないから」
冗談とも本気とも取れる顕太郎の口ぶりに、桃子は、笑顔を見せた。
「うん。叔父さん、ありがとう。また遊びに行くから」
桃子は電話を切ると、そのままベットへ身体を沈めた。
気分はだいぶよくなったのに、まだ息が苦しい。
桃子は、高鳴る胸を押さえ、そのまま瞳を閉じた―――。
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