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「………。」
「大樹?」
何の反応も示さない大樹の顔を、桃子は、覗き込むように話しかけた。
大樹の体が一瞬びくりと跳ねる。
「ぉお、孫にも衣装とはこのことだな!」
そう笑い飛ばす大樹に、少しドスの効いた低い声で、桃子は大樹を軽く睨みつけた。
「はぁ!?何か言いました?
よく聞こえなかったんですけど!!」
「冗談だって、超似合ってんじゃん!
さすが俺の妹!!
……でも、ちょっと短すぎやしないか?」
桃子の制服姿をまじまじと見つめ、大樹は訝しげに眉をひそめた。
「そんな事ないよ。今時の高校生ってこのくらいでしょ!?」
ひざ上丈ほどのスカートを眺めながら桃子が答えた。
制服一つ違うだけで、この間まで中学生だったとは思えないほど大人びて見える。
少し茶色がかった黒髪に、透き通る様な白い肌、襟と裾に白のラインが施された紺色のブレザーに白いシャツ。
紺と緑のチェックのスカートは、大樹が見惚れてしまうほど、桃子にとてもよく似合っている。
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