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同僚や友達と見ようか、いやいや。うう~んと、ある意味くだらないことに悩む。
悩みながら会社の敷地を出て大通りを進む。
あ。
と思った時には遅かった。
パンプスが溝に挟まって、踏み出せなくてグキっ。
追って出てくる痛み。
__いっったぁ!
苦悶の表情を浮かべながら、思わず見渡すと、誰もが素知らぬ顔で通りすぎる。
中には露骨に避けて通る人もいる。
甘い考えかもしれないが、誰か助けてくれる事を期待する。
バカみたい。そんな訳ない。
自分の馬鹿らしさと、ドジに、笑うしかない。
しぶとく居座る甘い考え、嫌いだ。
憎たらしいほど、測ったように綺麗にはまったパンプスを、かなり無理やり引っ張りだした。
現実、甘くない。
パンプスを履いて歩き出すと、ひねった箇所が痛い。
我慢して歩くが、痛い。
ああ、ついてない。
内心ブツブツいいながら、顔を上げると薬局があった。
後々引きずっても面倒だしなぁ・・・。
思い切って、薬局で湿布とテーピングテープを買って、その足で近くの公園のベンチに座る。
必要な処置を終えて、公園を眺めてみる。
六時前だが、まだ明るい。犬の散歩の人や、通勤帰りの人がせかせかと歩いていく。
小鳥もさえずいてる。
この足では映画も諦めるしかない。本でも読もう。という結論に至るまで、時間はかからなかった。
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