プロローグ・それぞれ

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フェイト「――いやっ、いやぁぁぁぁぁあ!!」 フェイトが慟哭を響かせ、この場に涙を流さないやつは俺以外にいなかった。 なぜなら今や宿敵とも言える組織(カオスショッカー)が作り出した人造人間(RFGK002)が変身した完成体のヴァンガードを亮は固有結界に巻き込み、そしてその固有結界が晴れた場所には、血で濡れ、ボロボロになった亮のバリアジャケットである白いロングコートと、俺達が作り上げた瞬時にライダーのベルトを装着するためのベルト《システムドライバー》に必要なベルトカード達が散らばっていたからだ。 つまり―― 五十嵐 亮は――俺達にとっての主人公が、死んだということだからだ。 特務六課の部署に待機しているなのはとはやて、さらに亮がフラグを建てた奴等も泣き叫んでいるだろう。 しかしなぜ俺は泣かないのか。いや、泣けないのか。それは…… 《この場面を何故か俺は知っているからだ。》 なぜ?どうして?という思考が頭の中に過る。 しかもこの次の展開も知っている。それは―― 裕「――!?なんだこれ!」 総弥「くそっ、どういうことだ!?」 美咲「裕!?」 葉月「総弥くん!?」 異世界からの訪問者である蒼月 裕と真代 総弥が光始め、どこかに消えてしまうのだ。 裕「みさ――」 総弥「はづ――」 お互い大切な人の名前を呼ぼうとするが叶わず、二人は粒子となって消えていった。 美咲「裕……裕ぅぅぅぅぅ!!」 葉月「うあぁぁぁぁぁあ!!」 消えた二人のいた場所を見つめながら、美咲と葉月は泣き叫んだ。 ――――――――――――― その後、亮、裕、総弥の三人以外は六課に戻ったが、暗いムードは消え去れなかった。 それもそうだろう。好意を持つものであれ、友人であれ、目の前で消えれば、死んでしまえば、割り切れる者はそうはいない。本来なら、俺だってそうだ。俺は亮の脇役で居続けると決めた。なのに主人公が、親友が死んでしまったのだから。なのに…… タクマ「なんで俺は泣けない?それになんであの場面を知っているんだ?」 ?「教えてやろうか?」 タクマ「!?」 部屋で一人呟いていると、後ろに誰かが現れた。 タクマ「……誰だ」 俺は焦りを隠しながら、謎の人物に問う。
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