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フェイト「――いやっ、いやぁぁぁぁぁあ!!」
フェイトが慟哭を響かせ、この場に涙を流さないやつは俺以外にいなかった。
なぜなら今や宿敵とも言える組織が作り出した人造人間が変身した完成体のヴァンガードを亮は固有結界に巻き込み、そしてその固有結界が晴れた場所には、血で濡れ、ボロボロになった亮のバリアジャケットである白いロングコートと、俺達が作り上げた瞬時にライダーのベルトを装着するためのベルト《システムドライバー》に必要なベルトカード達が散らばっていたからだ。
つまり――
五十嵐 亮は――俺達にとっての主人公が、死んだということだからだ。
特務六課の部署に待機しているなのはとはやて、さらに亮がフラグを建てた奴等も泣き叫んでいるだろう。
しかしなぜ俺は泣かないのか。いや、泣けないのか。それは……
《この場面を何故か俺は知っているからだ。》
なぜ?どうして?という思考が頭の中に過る。
しかもこの次の展開も知っている。それは――
裕「――!?なんだこれ!」
総弥「くそっ、どういうことだ!?」
美咲「裕!?」
葉月「総弥くん!?」
異世界からの訪問者である蒼月 裕と真代 総弥が光始め、どこかに消えてしまうのだ。
裕「みさ――」
総弥「はづ――」
お互い大切な人の名前を呼ぼうとするが叶わず、二人は粒子となって消えていった。
美咲「裕……裕ぅぅぅぅぅ!!」
葉月「うあぁぁぁぁぁあ!!」
消えた二人のいた場所を見つめながら、美咲と葉月は泣き叫んだ。
―――――――――――――
その後、亮、裕、総弥の三人以外は六課に戻ったが、暗いムードは消え去れなかった。
それもそうだろう。好意を持つものであれ、友人であれ、目の前で消えれば、死んでしまえば、割り切れる者はそうはいない。本来なら、俺だってそうだ。俺は亮の脇役で居続けると決めた。なのに主人公が、親友が死んでしまったのだから。なのに……
タクマ「なんで俺は泣けない?それになんであの場面を知っているんだ?」
?「教えてやろうか?」
タクマ「!?」
部屋で一人呟いていると、後ろに誰かが現れた。
タクマ「……誰だ」
俺は焦りを隠しながら、謎の人物に問う。
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