9.初めての温もり

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けれど、無情にも帰らなきゃいけない時間はやってくるわけで。 余韻に浸っているうちに、時計の針は20時を回っていた。 「……送るよ」 名残惜しそうに私から離れ、先に服を着始める。 私もベッド下に落ちてる服類を手繰るように取り寄せて、ベッドの中で無理矢理着替え始めた。 それを見ていた昂くんが、 「……今更」 と、眉を下げて笑っていたけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。 さっきまで裸だったことを考えたら、昂くん的には “今更”だろうけど…… チラッと恨めしげに昂くんを見たら、ベッド脇に腰を降ろして 「手伝おうか?」 と爽やかスマイルで手を伸ばしてくる。 うっかり「うん」とか言いそうになったのを堪えた私は、手元にあったクッションを昂くんの顔に押し付けた。 「……大丈夫だから、あっち向いてて」 「……ハイ」 クスクス笑いながら、ようやく反対側に顔を向けてくれたので、急いで私も着替えを完了させたのだった。
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