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けれど、無情にも帰らなきゃいけない時間はやってくるわけで。
余韻に浸っているうちに、時計の針は20時を回っていた。
「……送るよ」
名残惜しそうに私から離れ、先に服を着始める。
私もベッド下に落ちてる服類を手繰るように取り寄せて、ベッドの中で無理矢理着替え始めた。
それを見ていた昂くんが、
「……今更」
と、眉を下げて笑っていたけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。
さっきまで裸だったことを考えたら、昂くん的には
“今更”だろうけど……
チラッと恨めしげに昂くんを見たら、ベッド脇に腰を降ろして
「手伝おうか?」
と爽やかスマイルで手を伸ばしてくる。
うっかり「うん」とか言いそうになったのを堪えた私は、手元にあったクッションを昂くんの顔に押し付けた。
「……大丈夫だから、あっち向いてて」
「……ハイ」
クスクス笑いながら、ようやく反対側に顔を向けてくれたので、急いで私も着替えを完了させたのだった。
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