10. 輝く時の中で

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「ありがと」 お礼を言って、2人で朝美達のところへ戻ると何やら言い争いが始まっていた。 「どうしたの?」 「あっ、聞いてよひかり! 今マサくんがね、そこを通った振袖の女の子のこと鼻の下伸ばして見ててね!」 「鼻の下なんか伸ばしてねぇよ! 着物ってそそられるよなって言っただけだろ!」 ギャーギャー騒いでるけど、この2人はこの状態が普通だし、実は楽しんでるのも分かっている。 あー、はいはい、と聞き流しながら昂くんを見ると やはり溜息交じりに2人を眺めていた。 「ひかり」 「ん?」 「こいつら放っといて、行こう」 ニッと口元に笑みを浮かべて、私に手を差し伸べてくれる。 私はそれをギュっと握って「うん!」と返事をした。
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