10. 輝く時の中で

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「沢田先輩さっき言ってたけど、もう受験生なんだね」 朝美達を置いてゆっくりと私達は歩き出す。 「そうだな。……部活も引退だし、勉強もあるし、今までみたいにしょっちゅう会えないかも」 う、と思わず歩みが止まりそうになる。 会えないなんて嫌だけど、重荷にもなりたくない。 「まぁ、半年くらい先の話だし。今のうちに行きたいとことか行っとこうな。……そんな顔するなってば、会わないとは言ってないだろ」 思ったより顔に出てたらしい。 昂くんが慌ててフォローしてくれる。 「……冬休み終わる前にどっか行く?」 無言で俯く私。 「ひーかーり?」 ひょいっと下から顔を覗き込まれて、ジッと昂くんを見つめてから、満面の笑顔で答えた。 「行くっ!」
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