10. 輝く時の中で

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****** 時を重ねるごとに私達は、2人でいることが当たり前になっていった。 春が来て、それぞれ進級して、部活には後輩が入ってきた。 昂くんと付き合いだしてから一年が経つ頃、昂くん達3年生は部活を引退した。 たまに来るよ、とは言っていたけど 上級生がたまに来ると後輩たちが緊張してうまく練習できないことを知ってる昂くんは、おおっぴらには来なかった。 大好きな袴姿も、的をまっすぐ見据えた凛々しい瞳も、なかなか見れなくなると思うと寂しくて、引退の日は涙が浮かんだ。 毎年恒例の部の夏合宿は、去年と違って昂くんがいなくてやっぱり寂しかったけど 朝美と一年前を思い出して、妙に盛り上がったりした。 昂くんは何を心配してるのかやたら連絡をくれて、後で理由を聞いたら 「泊まりがけで、オトコもいるのに心配しないわけないだろ。将人から、1年でお前狙ってるやついるって聞いてたし」 と決まり悪そうに言ってて、思わず笑ったら、怒られたりして。 もっとクールに見えてた昂くんが懐かしい。
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