10. 輝く時の中で

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本格的に受験勉強が始まり、夏休みは予備校通いの毎日だった昂くん。 邪魔しちゃいけないと思って、私も朝美も、女同士で遊ぶことが多かった夏。 それでも、花火大会には一緒に行くことができた。 結局4人で行ったんだけど、途中でこっそり抜け出して 人気の少ない場所でしっとりと花火見物。 花火に見惚れてる間に、不意打ちで昂くんはキスしてきて びっくりする私に構わず、にこっと笑ってから飄々と前を向く。 時々、こんな大胆なことをする昂くんに私は振り回されながらも幸せを感じていた。 その頃には、お互いの家族とも顔を合わせていて 昂くんの家はウチより学校に近いこともあってよくお邪魔していたから、ご家族にはお世話になった。 「男だらけだから、ひかりちゃんが来てると嬉しい」って笑ってくれた昂くんのお母さん。 うちの母も昂くんを気に入っていて、「次はいつ遊びに来るの?」と私並みにウキウキしていたのには笑えた。
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