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「「ありがとうございましたー!!」」
部活が終わり、整列をして皆で挨拶をする。
お決まりの光景だ。
弓道部に入って三ヶ月程経ち、他の部員とも仲良くなって、楽しい高校生活をスタートさせたな、と自分でも思う。
「ねー、ひかり!今日もカッコ良かったよぉ、沢田先輩。」
そう目からハートを飛ばしながら話しかけてきたのは、クラスも一緒の弓道部員、江藤朝美。
彼女は、次期部長と言われている二年の沢田将人先輩に憧れている。
「そりゃ良かったね~!でも先輩ばっか見てて、那津先輩に睨まれてたでしょー。気をつけなよ~?」
クスクス笑いながら、2人で部室へ向かった。
那津先輩というのは、女子の部長だ。
「げっ、ヤッバ~!那津先輩、完全にあたしのこと嫌ってるよねー!!」
周りには聴かれないように、一応コソコソ話す朝美。
「それは朝美が、沢田先輩ばっか見て、ちゃんと練習に身ィ入れてないからでしょー?」
「うっ…、バレバレ?」
「バレバレだね~。」
あちゃ~、と顔をしかめて、手のひらで顔を覆う朝美は、
口では、しまったな~と言ってても、多分たいして気にしていない。
女の子らしい見た目とは裏腹に、
カラッとした明るい性格の朝美と私は、あっという間に仲良くなった。
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