1. 片想い

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「ひかりだって見てるんじゃないの?有田先輩。」 コソッと耳打ちしてくる。 「朝美ほどあからさまじゃないよ~。」 顔の前で手を横にヒラヒラ振りながら否定した。 でも、あからさまじゃなくても、 つい見つめてしまうのは事実だった。 「沢田先輩ほどじゃないにしても、有田先輩も人気あるんだから、モタモタしてたら誰かに取られちゃうよ~?」 「…そんなこと言われたって、朝美みたいに分かりやすいアプローチ、私には出来ないしー。」 そう。 朝美は積極的に沢田先輩に話しかけに行っている。 好き好きオーラが出まくってて、周りにもバレバレな状態。 沢田先輩は、迷惑がってはいなそうだけど、ちょっと困ってるかな、というような感じだった。 「いやいや。ここはやっぱりさ、頑張り時じゃない?だってもう、夏だよ!?海やら花火やら遊び盛りの季節よ? 好きな人と行きたくない!?」 これでもか、という位私の眼前まで近づいて力説する朝美に圧倒される。 思わず、 「そ、そうだよね…。」 なんて返事をしてしまった。
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