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「ひかりだって見てるんじゃないの?有田先輩。」
コソッと耳打ちしてくる。
「朝美ほどあからさまじゃないよ~。」
顔の前で手を横にヒラヒラ振りながら否定した。
でも、あからさまじゃなくても、
つい見つめてしまうのは事実だった。
「沢田先輩ほどじゃないにしても、有田先輩も人気あるんだから、モタモタしてたら誰かに取られちゃうよ~?」
「…そんなこと言われたって、朝美みたいに分かりやすいアプローチ、私には出来ないしー。」
そう。
朝美は積極的に沢田先輩に話しかけに行っている。
好き好きオーラが出まくってて、周りにもバレバレな状態。
沢田先輩は、迷惑がってはいなそうだけど、ちょっと困ってるかな、というような感じだった。
「いやいや。ここはやっぱりさ、頑張り時じゃない?だってもう、夏だよ!?海やら花火やら遊び盛りの季節よ?
好きな人と行きたくない!?」
これでもか、という位私の眼前まで近づいて力説する朝美に圧倒される。
思わず、
「そ、そうだよね…。」
なんて返事をしてしまった。
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