聞いてほしいのです。

5/11
前へ
/11ページ
次へ
話をしてくれたのは、私と同じ位の歳の男性でした。 彼もまた、呪いに付き纏われていると。 もしもどうにか出来るのなら、と、互いの家の話をしました。 彼の家が纏うのは、 永久に実らない恋に、女がかけた呪い。 愛している筈なのに、 自分を決して好きにならない男が憎くなり 例え男の幸せがそこにあったとしても、誰かと一緒になられる位なら。 その前に、死ね。 男は想い人に何を告げる間もなく、死んでしまった。 それ以来、その家に生まれた男は、誰かを好きになると死んでしまう。 そんな呪いが、彼の家にはかけられていました。 色々と話しをしている間に、 辺りはすっかり暗くなっていました。 なので彼の厚意に甘え、泊まらせてもらう事になったのです。 その家の一室に布団を敷いて貰い、床に就きました。 ウトウトと、意識が離れていきそうな頃に、窓の方から音がしたんです。 開ける訳でも無く、叩く訳でも無い。 何をしてるんだろうと、不思議に思い、目を開けました。 顔のすぐ横に、窓はありました。 ですから、目を開ければ見えたんです。 カーテンの隙間から、人の目が。 少しだけ開いた隙間から、誰かが覗いていたんです。 恐らく、女。 じっと、私を見ていたんです。 何を考えているのか、感情の読み取れない目で。 こっちからは何もわからないのに、 けれど向こうは、私の何もかもを見通しているような。 気持ちの悪い視線でした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加