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side紅葉
私、煌月紅葉は『炎煌の巫女』である。
別に自分から進んでなったとか言うわけけでもなく、ただ私という存在が先代の目に留まって修行をつけさせられ後を継いだというだけだ。
さて、私は今『神風の巫女』が管理している里に来ている。
元々巫女がいる里に他の里の巫女が来るというのはやや好ましい事ではないがそこら辺は勘弁してもらいたい。
なんてったってこの里は私の故郷だからだ。
小さな頃はよく友達と遊び回っていたっけ…
その事を思い出すと思わず笑みがこぼれる。両親の都合によってここから離れることになったのは私が7歳くらいの時なため、10年振りと言ったことになる。
10年も経てば変化したところの方が多く、懐かしさと共に寂しさもある。
でも、全く変わらない所もあるわけで…
「…ここは全然変わってないわね」
そこは『神風の巫女』が住んでいる神社
小さい頃…当時の巫女の娘とよく遊んでいたので何度か上がらせてもらったことがある。
そういえばあの子はどうなったのだろうか…
数年前に母親が流行病で亡くなり、そのまま後を継いだと言うことをを聞いてはいたが…会えるなら会いたいものだ。
…………呼び鈴を押してみたがどうやら留守のようだ。
あらら…タイミングが悪かったみたいね
どうせ暇なのだし里を観光してからもう一度寄ってみよう。
そう考えた私は里に下りる階段を下り始めようとして……
「…っ」
不意に邪悪な気配が里に現れたのを感じ取った。
この気配は…最近あちこちで暴れている化け物、確かーーディアス…だっけ?
かなり前に封印された最悪の化け物ディアブロス、封印から洩れたそいつの魔力が形を取ったのがディアスと言うらしい。
らしいというのは先代がそう言っていたから。
もしかしたら正式名称的なのがあるのかもしれないけど今はそんな場合ではない。
「…取りあえず皆を避難させないとね」
伊達に『炎煌の巫女』はしていない。
春香が戻ってくるまでに数を減らすことくらいできるだろう。
私は里に向かって階段を駆け下りて行ったーー
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