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TAKE1
アルが手頃な木に馬の手綱を括りつけ、馬から降りた。私もそれにならうように手綱を木に括りつける。
「んじゃ、さっさと行くか」
「え・・ちょ、ちょっと待ってよ!」
私が馬より降りるより早くアルは吊り橋を渡りだした。
「ちょ、ちょっとアルってば!置いていかないでよー!」
あっという間に対岸に渡りきってしまったアルに対して、叫ぶように声を張り上
げながら抗議する。
「何やってんだーミミも早く渡っちまえよー」
アルも若干声を張ってはくれているものの、あまりよく聞こえない。
「そ、そんな事言ったって・・・」
数時間経過・・・。
「た、高い・・・うぅ・・こんなの無理だよーーーーー!!」
「撮影が進まねー・・・」
ボリボリと対岸でアルが困ったような顔で頭を掻いていた。
TAKE2
対岸に着いた頃には足が震えて立ってられなくて、渡り終えたその場で座り込んでしまう。
「こ、怖かった・・・」
「遅いぞ」
意地悪そうにアルが言う。
「そんな事言ったってぇ・・・あんなに高かったし・・・・」
「遅いぞ」
「なんで二回も言うの!」
「大事なことだからな。遅いぞ!」
「アルの意地悪ー!!」
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