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TAKE1
自然と呼吸が早くなり、鼓動も早まる。
私は死の恐怖に犯されていた。
すると、背後の茂みで物音がした。
「・・・・!!」
物音に驚き狼から視線を一瞬逸らした瞬間、狙ったかのように狼は飛び掛ってき
た。
「っ・・!」
咄嗟に横に飛び退きその一撃をかわした。
が、短剣を取りこぼしてしまい丸腰状態になってしまう。
狼は今にも飛び掛ってきそうだ。
私が死を覚悟した時、先ほど物音がした茂みのほうから・・・確実に寝入っているであろういびきのような物音がする。
「・・・ちょっとアル!本気で寝てるでしょ!!」
「んぁ・・?」
「もぅ~しっかりやってよー!」
「ねみーんだもん・・・」
TAKE2
「人が寝てんのにうーうー唸りやがって・・・うるせーぞ」
寝ぼけているのか、目を擦りながら茂みから男の人がガサガサと出てきた。自分
の身長ほどあるような大きな大剣を携えて。
狼は気にする様子なく、私のほうを注視したままだ。
男の人は呑気に大きな欠伸をしている。
そちらに気を取られていた私は狼が飛び掛ってきているのに気付くのが遅れた。
無意味だが咄嗟に両手で自分を庇った。
かぷっと狼・・のようなハスキー犬の歯が腕に柔らかく食い込む。
「ぁ、痛っ!」
そのままじゃれ付くように甘噛みしてくるハスキー犬を撫でながらアルに視線を送る。
「・・・」
アルは立ったままの姿勢で寝ていた。
器用だなぁ・・・・。
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