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雪弥
雪弥は、恵介と麻美からの沢山の愛情をうけてすくすくと育った。
雪弥は、夜泣きもしない手のかからない子供だった。 日を追うごとに麻美の赤子の頃に似てきた雪弥。二重瞼のクリッとした瞳が麻美にそっくりだ。
ただ雪弥の一歳の誕生日を迎える頃、恵介と麻美は1つ気がりな事があった。 それは雪弥の髪色だった。
恵介と麻美は日本人ながらの黒髪。 雪弥はorangeの強いブロンドだったのだ。雪弥が産まれたばかりの頃は全く気にする程でも無かったのだが一年の月日と共に、色素がハッキリとして来たからである。
念のため恵介と麻美は一度病院で遺伝子の検査をして貰ったが、特に心配事や問題も無かったので 雪弥の髪色の事は、余り気にしなくなった。
この頃には、雪弥は1人でしっかり歩けるようになっていた。雪弥の成長は平均的に早いものであった。 ハイハイやお座り。ママ パパ ブーブ簡単な言葉を発する事も。
恵介と麻美にとって雪弥の成長は嬉しく微笑ましい事である。それと雪弥の写真やビデオが増えていった。
そして2月22日。雪弥の一歳の誕生日。いや、記念すべき三人の誕生日。この日の晩、突然雪弥が初めて高熱を出し痙攣までおこし、恵介と麻美は急いで!病院に雪弥を連れて行った。
雪弥が産まれた大学病院だ。
病院に着くと、御世話になった医師が直ぐ様、雪弥の診察をした。
一通り検査と処置を施して貰ったが、【ただの風邪】と言うことで恵介も麻美も胸を撫で下ろし安心した。
念のため一晩、入院する事になったが点滴を受け痙攣も治まりスヤスヤ病室のベッドで眠る雪弥の姿を見て、明日仕事がある恵介は1人家に戻り、麻美が雪弥に付き添う事にした。
麻美は、恵介が病室を出た後、雪弥の小さな手を握り心の中で何度も何度も【ごめんね。】と謝り静かに涙を流した。 麻美は雪弥に苦しい思いをさせてしまった事を母親として失格だと感じてしまっていたから。
また、命に別状が無かった事で不安からの緊張の糸が切れた安堵から。
それに、三人にとって…。雪弥にとって…。初めての誕生日だったから麻美はいたたまれ無かったのだ。
雪弥は、そんな麻美の想いが伝わったのか?
【ワタシは大丈夫!ママ泣かないで】と伝えようとしてるかのようにギュッと麻美の手を握り返した。
麻美は、『!』雪弥が目をさましたと思い『雪弥!雪弥!大丈夫?ママよ』と声をかけた。が雪弥はスヤスヤと眠っていた。
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