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「まつげ長いよね」
志をじーっと眺めてみる。
美しいというより人形のような愛らしさがある。
「てめー、さっさと龍壱探しにいけよ」
背後から尋常ではない威圧感が廉太郎に襲いかかる。
「あ、いたんだー」
「悪いかよ」
「別にぃ。てか、ユキちゃん見てるの俺の勝手じゃん」
「志は俺のもんだ」
不機嫌そうに本多慎(ホンダ マコト)は睨む。
「もー、そんな顔しなくても退散しますよ」
廉太郎は何事もなかったかのように(なにもなかったのだか)教室をでていった。
「志……」
慎は志の頭を撫でる。
志の髪が風に揺れる。
ただそれだけなのに、ドクン、と心臓が跳ねた。
もう少し、いや、ずっとこのまま見ていたかった。
廉太郎がいなくなって空いた席に慎は腰を下ろす。
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