第1章

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そのうち慎の高校受験が近づいたため遊ぶ機会、というより会うことすらできなくなっていった。 会えない日が続くに比例するように志の心の中にモヤモヤとした気持ちが湧いてきた。 慎と受験で遊べなくなったことに不満を感じているのかと初めは考えた。 でも、なにかが違うと志は悟った。 一緒に遊びたいわけじゃない。 ただ会いたいだけ。 志は自分の心の中に芽生えた思いを伝えたかった。 慎に会いたかった。 しかし、慎は今、大事な受験前だ。 自分の勝手な思いを伝えて重荷になんてなりたくなかった。 いや、違う。 友達としての気持ちじゃない、友達なら抱くべきじゃない感情を伝えることによって慎が離れていってしまう。 それが志は怖かった。 だからなにもできなかった。 .
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