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躊躇いのない天道に驚きながらも、部長は右手で顎を鋏むように持ち少し考えているようだ。
「今から一時間、この腑抜けを連れて外回りしてこい。どこを回ってもかまわないからな」
「は……はいっ」
だが、そんな長い間考えることなく、部長は天道に直ぐ様“指示”を出した。
「帰ったら、おまえの仕事をコイツにもさせていいからな」
「はい!」
立ち上がった天道の肩に手を置き、顔を曇らせ部長は言った。
「何があったか知らんが……重症だな」
何と言われようが、今の俺はそんな乗り気にはなれないのだから、どうしようもないのだ。
「一時間で使えるようにしろよ」
「努力します」
ポンポンと天道の肩を叩き俺の肩も一度叩くと、部長は自分の席に戻っていった。
「先輩、早く。行きますよ」
「べつにいいし……」
面倒臭がる俺を無理に立たせると、天道は俺を近くのカフェへと連れて行った。
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