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柏木は……殺人の罪で警察署へと連行されていった。
その姿を見送りながら、森次は岸和田に悲痛な思いを吐露する。
「あいつはこれから……どうなるんでしょうか……」
「来栖高校事件の犯人と本人が自供している以上……牢の外で会う事はないだろうな……現時点では、最重要参考人だ……」
「アイツの自宅で……新型麻薬が発見されたそうです……一体どのルートから手に入れていたのか……更に驚くべきは、昔より改良を加えられていたようで……」
「…………そうか…………」
「これで事件は……解決となるのでしょうか……」
「それは違うぞ、森次……忌むべきは麻薬だ……我々日本警察が目を光らせていたにも関わらず、新型麻薬は持ち込まれてしまった……」
「第2、第3の殺人鬼が……麻薬によって生み出されるという事ですか……柏木のように……ッ! クソが……ッッ!!」
涙を流し悔しがる森次に……岸和田は優しく肩を叩いた。
「取り調べは俺がやる……森次、お前も柏木の力になってやれ。麻薬という最悪の敵と戦うアイツの支えにな……」
頷き、顔を上げた森次の表情は、強い使命感を帯びていた――――
――ドラッグの検挙人員は近年横ばいであり、初犯者の高い構成比率も継続、更には再犯者の上昇傾向は継続している。
昨今はインターネット利用薬物密売事犯の横行、国内における根強い薬物需要、密輸入押収量増加の基調や末端価格の動向等から、我が国において早急に手を打つべき最重要課題とされている――
『 完 』
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