1章 : ルール

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AM7:56 校門前には守衛とおぼしき屈強な男2名が直立不動で警備にあたっていた。まさに門番といった感じで、法隆寺の金剛力士像を思い浮かべる。 「おはようございます!」 敬礼付の大声で挨拶され、一瞬びくりと肩が震えた。気圧されながらも「おはようございます」と返して校門を潜ろうとした矢先、右側の阿形……もとい守衛に通行を遮られてしまう。 「生徒手帳を、そちらの端末にかざして下さい!」 いちいち大声な事にぼくは顔をしかめながら、指さされた場所を見る。自動改札機が何台も横並びになっていて、確かに生徒達はそこへ手帳をかざして校内へ進んでいく。 だが残念な事に、ぼくは生徒手帳を持っていない。事前に自宅へ送られてきた物の中に入っていなかったし、早朝8時迄に職員室へ来る事という連絡以外は何も聞いていなかった。これは一体、どういう事だろうか。
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