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窓から差し込む橙色の陽光、自分以外に誰もいない教室。部活に明け暮れる生徒の姿も、廊下から聞こえる騒がしい声も消失している『不自然さ』から、ようやく気付いた。
――また、いつものやつだ。
何気なく外を眺めた瞬間、上から人影が降ってきた。それを視野に入れまいと目を瞑るが、続けてカンカンと電車の接近を告げる音が聞こえてきた。耳を劈くような警笛、ぐしゃりという何かを潰したような音。
――もう、許してくれ。
両耳を塞ぐが、今度は生臭く不快な臭いが漂ってきた。一瞬にして臭いの元凶が理解出来てしまい、思わず吐き気を催す。
――どうすれば解放されるんだ、どうしたら。
肌に無数の何かが触れてきた。腕を引っ張られ、足に纏わりつかれるそれを乱暴に振り払う。
――お前らは、もうこの世にいないんだ。消えろよ、消えてくれよ。
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