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「――――?!」
彼女は何かを感じ、振り返る。無論の事、そこには誰もいない。
水を止め、手も拭かないまま浴室を出て辺りを確認。廊下を歩き、リビングに入り、そして……寝室の扉を開ける。
ベッドには、背を向けて眠っているぼくの姿があった。気のせいか……そんな感じで、彼女は再び浴室へ戻っていく……
――ぼくは、起きていた。
あと一歩戻るのが遅れていたら、彼女に気付かれていた事だろう……
彼女に一体何があったのかは分からない。ここへ帰ってくる途中に、指でも怪我してしまったのかもしれない。そうだ、きっとそうだ。
――そんな淡い期待をしながら朝を迎え、リビングへ向かうと彼女は既に起きていて、朝食をテーブルに並べている最中だった。
「あれ? 今日は早く起きれたんだね。えらいえらい」
いつもの笑顔を見せる彼女。そんな彼女の指には、包帯はおろか絆創膏の1つも貼られていなかった。
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