Epilogue

11/17
前へ
/460ページ
次へ
署に戻り、仕事を終えた頃には深夜になっていた。当然、自分1人しか残っていない。別に自分だけが多く仕事を割り振られている訳ではなく、パソコンが全く出来ない岸和田さんの為に資料を作成したり、他の奴らの尻拭いをしたりと……まぁ、そんな感じだ。そういう事が実を結び、今回の昇進へ繋がったのだから全くの無駄ではない。何より、ぼくはこの仕事に誇りを持っている。 あとは彼女が、ぼくの言い訳をきいてくれるかどうかだな…… 帰り支度をして、警察署から出る。じめっとした生温い空気が、倦怠感を増大させる。早く帰ってシャワーでも浴びたい所だ。 駐車場に止めてある自分の車に向かった際、鍵を持ってくるのを忘れている事に気付く。署の机に入れているのは分かっているのだが…… ここで日中の大瀬良を思い出す。筋力の衰えを実感するにはまだ早いが、日々鍛えておかなければいざという時に困る。 少し考えて、ぼくはタクシーが拾える所まで歩こうと決意する。あくまで家まで走って帰ると言わない辺り、ぼくらしいなぁと思いつつ。 軽い屈伸運動を行い、気合いを入れて歩き始める。 ――この時は、ほんの気まぐれだったという他ない。しかし…… その気まぐれが、ぼくの悪夢を呼び覚ます結果となる――
/460ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2647人が本棚に入れています
本棚に追加