1章 : ルール

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場が和んだので、思い切って皆に話を切り出してみた。聞きたかった内容は勿論『ルール』の事についてだ。 皇が、かの有名な皇財閥を将来背負う男というのは分かった。しかし、もう1人の音無涅槃はどうなのだろうか。この学校に通っているという事は、親がお金持ちであるか、本人が一芸に秀でているかという事になるが…… 「……なんで、そんな事が気になるんだ?」 長谷部の様子が変わる。先程まで、ふざけた態度や口調だったのが一変して厳しいものになった。いや、長谷部だけではない。東雲も月見里も、音無涅槃という言葉を聞いて一気に表情が陰る。 「言ったはずだよな。あいつは、いないものと考えろってさ」 空気が重く感じた。それを察したのは東雲も同じだったようで、長谷部に向かって「まぁまぁ、そんな顔して言ってあげなくても」とフォローを入れる。 「柏木君も来たばっかりでさ、色々と分からない事が多いんだよ。仕方のない事じゃん? あんな事があったなんて――」 「東雲ッッ!!」 突然、長谷部に怒鳴られて東雲は口元を抑える。何か言ってはいけなかった事を言ってしまったような……そんな感じで。 ぼくがやってくるまでの2~3ヶ月の間に、一体この学校で何があったというのだろうか……?
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