XVIII

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尊は口元に笑みを浮かべたまま、俺の質問に答えようとはしなかった。 「幸せにするんじゃ無かったの?」 たたみかけた質問にも応えようとしない尊に、俺は、もう一度言った。 「幸せに出来ないなら返して。」 プッと吹き出した尊。 「…何がおかしい? 亜希を壊しておきながら、よく笑えるな。」 「はははっ!」 尊は、声を出して笑い出した。 俺はイラつく気持ちを抑えて、尊の笑いが収まるのを待った。 「…ごめん、ごめん。 余りにも必死だから可笑しくってさ。 …凄いね。 こんな目に遭っても、まだ亜希が好きなんだ。」 笑いを堪えるように口元を握った手で押さえながら、視線だけを俺に向けた。 「僕が『はい、どうぞ。』なんて返すわけ無いでしょ?」 その視線を見返しながら、俺は言った。 「…亜希が戻りたいと言ったら?」 「今の亜希に、まともな判断は無理さ。 お前だって、警察から聞いてるだろ?」 精神鑑定の結果、亜希に下された病名は、長期入院と治療が必要な物だった。 それは、不起訴とするには十分すぎる程の診断結果だった。 「今の亜希に必要なのは、お前じゃない。 …まあ、僕でもないけどね。」
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