XIX

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「あれ、高橋じゃない?」 智美の指差す先を見つめると、反対側の歩道に高校の同級生だった高橋圭吾らしき姿が有った。 「圭吾~!」 試しに叫ぶと、彼と隣を歩く銀髪の男が同時に立ち止まり振り返った。 「やっぱり!」 10メートル程先の信号が青の点滅になりはじめ、私は、咄嗟に走った。 「あ、亜希?わっ、ちょっ、ちょっと、待って~!」 「智美、早く早く!」 後ろを振り返りながら走って道路を渡り、圭吾の元に駆け寄った。 「ひ、久しぶり~いっ!」 肩で息をしながら言ったと同時に、背中に智美がぶつかってきたから、語尾が1オクターブ上がった。 「智美~痛い!」 「だ、だって、亜希急に赤信号渡るんだもん!」 「赤じゃ無いよ。点滅だった!」 「私が渡る時は赤だった!」 そんな私達のやり取りを呆れた表情で見下ろす圭吾の隣で、銀髪の男がクスリと笑った。 初めて見る顔だった。 …同じ美容学校の友達かな? 派手な頭とは裏腹に、笑った顔は優しい印象だった。 「高橋久しぶり。」 智美が私の背中にくっついたまま肩越しに言う声で、私は視線を圭吾に戻した。 「ん。」 と必要最低限の挨拶を智美に返した後、圭吾は私を見下ろした。
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