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「でも本当にお疲れさまです。高山さんがいなければ、このプロジェクトもこんなに軌道には乗ってなかったと思いますよ」
そんな様子を見つめながら、もう一人の男性が彼女に声を掛ける。
「私だけじゃない、工藤君と、そして姫川君、あなた達二人がいたからこそ、ここまで来れたの」
彼女──高山は、姫川を真っ直ぐ見つめ返して答えた。しかしすぐにその視線を反らすと、
「はい! もっと飲むわよ! 工藤君もほら、離れて。今日は私の奢りだからね!!」
そう言って、近くを通りかかった店員にビールのお代わりを頼んだ。
「何言ってるんですか。今日は俺が出しますよ」
姫川が言うが、
「なぁに言ってんの。部下に奢らせる訳にはいかないわよ」
高山は譲らない。
「確かに高山さんがチームリーダーだけど、上司って訳じゃないでしょ」
姫川の反論に、高山は何も聞こえてないかのように、運ばれてきたビールを口に運んだ。
それが彼ら三人の、いつもの光景だった。
高山がこの話を持ち掛けるまでは……──。
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