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「お? ダゴンにヒュドラ! 姫川、良い趣味してんじゃん!」
そんな二人の間を割るように、姫川が描いたアバターのラフを見ながら、工藤が口を挟んだ。二人の視線もそちらに向く。そこには、まるでベトベトンのような鉛筆画があり、ダゴン&ヒュドラと走り書きがされている。
「でもビジュアル的にどうかしら」
高山が否定的な言葉を口にするが、
「誰がグラフィックに起こすと思ってるんですかぁ。僕ですよ、僕! なぁ、姫川?」
「そうですよ、工藤の手にかかれば、海坊主みたいなアバターでもきっと素敵になりますよ」
多分、と小さく付け加えながら、姫川も応える。高山はどこが海坊主なんだろうと、頭を捻りながらそのラフを見ていたが、
「どぁいじょおぶです! 絵心の無い姫川だからこんな……だけど、本当はもっと艶があるんですよ」
「こんな……」の後に『(笑)』を付けたらこんな感じだろうというような話し方で、工藤は高山を説得する。憮然とする姫川を横目に高山は苦笑しながら、
「じゃあ工藤君、任せるわね。姫川君はスキルを考えて」
そう指示を出した。
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