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「すげぇ!すげぇやセルリアっ!!」
「わわっ、危ないじゃないですかレイチェル!武器を持ってるんですよ!?」
「大丈夫だよ、セルリアだもん」
無茶苦茶な事を言います。
早く剣を仕舞わなけれ……。
「ない!鞘がありません!!な!ななな!ベベベベ、ベルトが千切れてますっ!!」
あわわ、マスターからいただいた剣帯が!
「何であの化け物に出くわした時より慌ててるのさ」
あわわわ、周りは大惨事で捜索は困難を極めそうです。岩を動かそうとしたら、上のが崩れて来てとても危険です。どうしましょう!
「慌てます!剣を抜き身で持ち歩くなどっ冒険者として」
「バックパックあるんでしょ?」
「そう言う問題では……ん?」
頭の上で何か光って、ゆっくりと降りて来ています。
両手を差し出すと。
「鞘だ」
「鞘ですね」
エンジ色に金の装飾。けれど、派手すぎずシックな仕上がりの、どう見ても鞘です。空から降ってきました。
そんな事あるんでしょうか、マスター?
誂えたようにピッタリはまりました。不思議です。
『我が美しき主、よくぞご無事で』
「心配掛けましたね、ニル」
レイチェルを押しのけ鼻梁を押し付けてくるニル。彼女は不満そうに背中をバシバシ叩いています。
『はぁ、我が美しき主』
「はい?」
『貴方が僕は英雄にならなければならない!と声高らかに叫んだとき、我の心は高ぶり今にも踊り出しそうだった』
「なっ……聞いていたんですかっ!」
勢いで言ってしまった言葉を改めて口に出されると恥ずかしいものですね。
『ちょっと厨二な発言も、貴方のピュアな心から発せられた物なれば』
「からかわないで下さいよ。もぅ、どこからそんな用途不明な言葉覚えてくるんです?」
『普通の方の主だ。あぁ、そんな貴方に痺れるし、憧れる。よりいっそう貴方を愛おしく思うぞっ!!』
「叫ばないでくださいっ」
「ホント仲良いよね~。って言うか、セルリアってさ髪の毛解くと冗談抜きで綺麗だよね。姉ちゃんより姉ちゃん」
「レイチェルまでっ。もう、喋っていないで早くバックパックに詰めちゃいますよ」
「へ~い」
レイチェルはマリッツァボア、僕はゴリアテボアを一度手を合わせてからバックパックに詰め、さあ帰ろうと言うとき。
もふもふ、もふもふ。
「マリッツァボアが沢山います」
「か、囲まれてるよセルリア!!どうすんだよ!?」
もふもふもふもふ。
お祭り騒ぎです。鼻をひくひくさせ、時には鳴らし少し上下に動いたりして僕達をつかず離れずな距離感を保って取り囲んでいたのです。
「迂闊でした……モンスターがゴリアテボアだけではないのは確認済みなのに」
どうしましょう、流石にかなり消耗はしているのです。
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