ゼロ

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ーーー  頭がぼぉっとする。 『ーーーごはんだよっ!』  ピコピコ、コントローラーをいじくっていると、声が聞こえる。自分を呼んでいるのだろうか? 『またゲームしてんのかい!?いい年してこの厨二病が!』  バタンと扉が開いて誰か入って来る、顔は、モヤモヤしててわからない。とりあえずデカい。大分だみ声で荒っぽい口調だけど女、っぽい声。誰だろう?  そう思っている内に視界は暗転。寝た?死んだのか?いや、そんなことない。夢だよ夢。ぼぅっとした頭で考える。どうしよう、早く起きなきゃ。  そんなことをぼんやり考えていると、次々モヤモヤスクリーンが現れる。 『お兄ちゃん、今いやらしいこと考えたでしょー!ヘンターーイ!その顔でロリコンとかマジあり得ないんですけど!』  これは女の子の声。だがしかし、なんだと?俺の顔とロリコン関係あるのか!? 『へっへっへ、今日のは生きがいいですぜ旦那、このメルキリギリスなんて唐揚げにしたら最っ高ですぜ!』  へいへい!キリギリスは食べ物ではありませんよーー!!俺は何族なんですか!唐揚げは鶏とかエビとかにして頂戴よ。 『姉さん!!アタシ!アタシぃ!』  えっ?あら?アタシ、オンナだったけ!?てか、アンタ野太いわよ!声!  頭の中がぐちゃぐちゃだ。少しばかり、間が空いてモヤモヤ。 『諸君等を死地に赴かせなければならない』  重い重い重い!これいきなり重いわ! 『この暴君を呪ってくれていい、しかし、諸君等の任務の成功が唯一戦を回避する手だてだ』  苦渋に満ちた若い声。髪は蒼っぽい、モヤモヤしててもわかる程鮮やかな色、やっぱり顔はわからないのだが。 『セルリア様。我々は貴方が皆に言われる様な暴君で無いことを知っています。我々自らの意志で行くのです、どうか貴方はこの国をお導き下さい』  うなだれる影。 『……死ね、と言っておいてこんな事を言うのは馬鹿げていると思う……だが……出来るなら、みんな生きて帰って来てほしい』  最後は王としてではなく彼の願いだったのか、少しばかり、口調が崩れていた。みんなの感情がなだれ込んで来る。目頭が熱い。熱くてたまらなくなる。  俺号泣。ついでにみんな号泣。 『武運を祈る……』  必ず、必ず生きて帰ります!陛下ぁあああ!! 「へっくしょーーーいっ!!」  
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