ゼロ

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 あぁ、びっくりした。自分のくしゃみでびっくりして起きちゃった。だが、まだぼんやりした頭であることに変わりない。  今感じていること。寒い。腹減った。俺のくしゃみミラクルデカい。以上3項目。だから、まだ気づけなかった、この異常事態に。  ぼけーっとしてベッドから足を下ろすと、やけにひんやり。 「おぉ寒っ、骨身に凍みるぅ、ストーブストー……あれ?って、ここどこ!?」  薄っぺらい掛け布団をさながらマントの様に羽織ると、辺りを見回す。狭くてやたら暗い部屋、無機質な壁、暖房器具の一切はなく、お粗末な木組みのベットが一つ、あとご飯を食べるにはあんまりにも小さなボロいちゃぶ台、これが元来の住処ならちょっと引く。  少しキョロキョロしていると暗闇に目が慣れてきた。そして、貧相な部屋にあるまじきモノが机に置かれている事に気付く。  握りこぶし二個分程の青いクリスタル。 「うへー、大きなクリスタル。一体俺どんな勢いでこんなの購入したんかね。いい大人がよ、こりゃアマゾンもびっくりだね」  人間テンパると饒舌になるもので無駄に口を動かしながら、何のためらいも無くその某ゲームに出てくるような大振りのクリスタルを手に取った。
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