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このままこうしていてもラチがあかない。こっちは生身、あっちは石。長引けばこちらが不利。
「仕方ないなぁ……承認!」
それに少し叫んだせいか喉が痛いしそれ以上に渇いてて早く水でも飲みたい。
『レクチャーを開始します。
貴殿は本日より、本世界、ユートピアリアにおいてダンジョンマスターとして転生いたしました。ダンジョンマスターの権限として、ダンジョン制作、並びにモンスター召喚、武具及び罠、備品その一切をダンジョンポイントを消費し生成する事が出来ます。』
「へっ?」
『ダンジョンポイント入手についてご説明します。侵入者、並びに当ダンジョンコアにて召喚されたもの以外のモンスター撃破の際、撃破対象のレベル、種族、ランク及びレア度に準じたポイントが加算されます。また、所有物に限りポイント還元が行えます』
じゃぁ、このクソムカツク石っころも還元出来るのだろうか?と思っていたところ『尚、こちらのダンジョンコアは還元出来ません』と見透かされたようにご丁寧な回答がなされて幾分ガックリ。
『進まれる際は承認と宣言してください』
「どこの音声案内よ」
あまりに突飛すぎて質問もない。仕方なしに1を選択する。まだ寝ぼけてる、いや、夢の続きを見てるのかな?その時はまだ、淡い希望的観測、楽観的な考えが頭の中にあった。
しかし、次に始まったのはコアの淡々とした女性の声ではなく。
『ガザ……ジィーー……』
それは錆び付いた奇怪なノイズ。コアの音声と全く違う背筋も凍り付くような異質な声が、鼓膜に響き渡り、脳を震わせ意識を覚醒させた。
『これより10日後……ダンジョンは解放さ、れ、各国より冒険者、討伐隊、野生種のモンスターなど、の侵攻が開始され……だろう。
お前の全て記憶、知識、発想、概念、その叡智を、結集しダンジョンを制作するが、いい。生き残れる……は、ほんの僅かな“人であったもの”だ、けだ。私はお前達を見守っている、逃げら、れはしな、い。
ダンジョンは悪であり、マスターであるお前もまた悪である。そして、お前の持つコアはお前のその小さな命以上の価値を持ち、富を名声を人間に与える。ここはそういうシステムに支配されていることを早く理解したまえ。
奪われる前に奪え。
この“理想の楽園”で生き残りたいのならば………期待、し…るよ……ガザガザ……ジーー』
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