ジュウロク

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「ここだよ!」 『……真っ暗だな』  「当たり前だろ?夜なんだぞ」 『……はぁ』 「なんでため息吐くんだよ」  渓谷につくと、ゴツゴツした岩場にいくつもの魔物の気配。 「確かにシャドウウルフなどのエレメントとは違うみたいです。暗澹たる闇を照らせ、光精ウィル・オ・ウィスプ」  指先に少し暖かな魔力が触れ、頭上に光源が現れます。こんなに闇の魔力が強い所でもちゃんと力を貸してくれる事に感謝です。ありがとうございます。 「そんな事も分かるの!?」 「はい。ユニークスキルであるウィークリサーチである程度の範囲なら」 「すげぇっ!!」 『何と下品な言葉遣いだ……』  ニルが鼻を鳴らしながら首を振った。 「まぁ、僕よりレベルが高いと弱点などは分からないんですが」  などと言っていると、マリッツァボアがわらわらと集まって来ました。 「……も、もふもふですっ」  長い毛足がまるで羊のような、でも真ん丸でお鼻が豚なモンスターです。見た目はとても可愛いです。 「見た目は可愛いんだけど、結構好戦的なんだ!気をつけてっ」 「ニル、レイチェルをお願いします」 『分かりました我が美しき主。小娘、乗れ』 「小娘ってやめろよ」 『キンキン騒ぐな。言うことを聞け』  高圧的なのですが、ちゃんと庇うように背に隠し乗るように促しています。 「行きます」  クラウ・ソラスを抜き、脚に魔力を纏い、剣に風を纏わせる。出来るだけ余計なものを削ぎ落としながら。刃先だけに集中させます。  一つ短く息を吐き。呼吸を整える。 「はぁっ」  硬い、このふわふわに見える毛はキングブヒーモスをも凌ぐ剛毛のようです。しかし。 「す、すっげぇっ!!一撃っ!!」  それだけの話です。  三体四体と倒して行くと、他のマリッツァボア達は逃げ出してしまいました。 「居なくなってしまいましたね」 「おっかしいなぁ、いつもはもっとガンガン襲いかかってくるのに」 「それも何だか怖いですね」
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