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「ブォオオオオオッ!!!!」
巨体から繰り出されたのは、空気全体を震わせる程の爆音、低く目の前の生物を圧倒する咆哮。鼓膜が破れそうです。
「つっ……なんて大きな声なんですか」
ニルも首を左右に振って、少し飛行が安定しない。レイチェルも怯えた様子でギュッとしがみついていた。
「威圧効果をもたらす咆哮。厄介なスキルです……」
ギリギリ効かないレベルだった。そうでなければ。
「アクセラレート!」
加速の魔術掛け、真っ直ぐに駆けてくるゴリアテボアの体当たりをかわす。一瞬でも立ち止まってしまったらお終いでした。
「わぁ……あんなに大きな岩がバラバラですっ」
あんなのを食らったら一溜まりもありません。
飛翔魔法で脇をすり抜け、後ろに回る。恐らくこの手のモンスターは前にしか進まない。けれど、その巨体に反し恐ろしく素早い。
「尻尾もなかなか凶悪です……」
ヤマアラシのようにトゲがびっしり生えた尻尾。先っぽはにゴツゴツした塊がついていてまるでフレイルのよう。
先に厄介そうな尻尾を切り落とします。魔力を練り、クラウ・ソラスに纏わせ飛ぶ。
「はぁっ!!」
ギィンと言う金属音が鳴り響き、剣が弾き返された。
「硬いっ」
僕の膂力では傷を付ける所か全く刃が入らない。
「セルリアっ!!」
「レイチェル!早く逃げるんですっ」
果敢に弓を射るレイチェル。効果がないのは分かっているはずなのに。いけません、あちらにターゲットが移動してしまう。
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