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「転校生の水上 桜だ。水上、自己紹介を」
「はい」
水上さんは頷くとチョークを手に取るととても綺麗に水上 桜と書いた。
「水上 桜といいます。皆さんも解っていらっしゃると思いますが水上財閥の一人娘です。皆さんの仲間に入れてもらえると嬉しいです」
なりやむ気配の無い拍手をぼんやりと聞き流し、先程の言葉を反芻させた。
水上さんが、帰ってきた?
「おーい、浮かれる気持ちは解るが少し黙れ。少し手伝って欲しい事がある」
坂本先生がそう言った途端に拍手はなりやみ、皆坂本先生から目を逸らした。
僕もそうしようと思ったが少し遅かった。
「そうか。そこまで言うなら仕方ないな。いや、なにも言うな。先生にはお前の心の声が聞こえた」
そんな歯の浮く様な台詞を堂々と言い、涙ぐむ仕草をする坂本先生。
「……はい」
こうなっては何をやってももう無駄だ。僕は降参の意を表し深いため息と共に返事をした。
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